ねじと金属切削加工のなんでも屋 有限会社 竹澤鋲螺

ねじ屋の雑談コーナー

おじぎ
ねじ屋の内輪話ですみません


   2000.5.22 第11話  樹 脂 の ね じ その1
  
 最近、樹脂(合成樹脂)のねじのお問い合わせをよくいただくようになりましたが、
 一般の方がご存知のプラスチック(この総称のほうがピンとくるかもしれませんが)
 のイメージというと、どんなものになるのでしょうか?プラスチック=燃えないゴミみ
 たいなあまり良いイメージがありませんね。 その上最近ではポリカーボネート製
 の食器の環境ホルモン問題などでより悪くなってしまったのでしょうか?樹脂業界
 内のデータなどでは問題になっているのは日本を中心に数ヶ国と主張していますが
 ねじ屋の私には結論など出せるはずもなく。また、樹脂のねじを食用近辺に使うと
 いう事も少ないので証明もしにくい問題ですね。
 ちょっと話がズレましたが、どうもプラスチックのねじっていうとおもちゃに付いてると
 か車のノブとか、はたまた小さい時に作ったプラ模型の部品というのが多いですよ
 ね。 だからすぐ折れるとか、アイロンが当たっただけですぐ溶けると思われていな
 いでしょうか? また接着剤でもすぐ溶けるなんていうのもありますよね。
   確かに今まで、樹脂ねじというと塩ビのパイプの配管に使うボルトとか?鉄の
 ねじの頭の部分だけをユリア樹脂などでカバーしたものが中心で、実用的なもの
  は長い間、唯一ポリカーボネート製のものあるのみでした。
 なんかPC(ポリカーボネートの略称)が古くてダメみたいに取られそうな書き方に
 なってしまいましたが、通常使用なら(パネルと留めるとか)十分実用範囲ですし
 食器にも使われるように衝撃にも強く、-40度から120度までと使用温度も充分
 広い、その上透明できれいとか利点もあり、第一安価な絶縁ねじですね。
   当社では、従来からPCに対して、すべり性が良いとか、加工がしやすいなど
 の特徴を生かしてデルリンとか、ジュラコンとかの商品名で知られるポリアセター
 ル材でねじ類を作ってきました(成形で作るほどではない時に一番安く作れるの
 がこの材質なのです)。更に高温に耐えられるところにはフライパンなどで有名
 なテフロンで作る事もたまにありました(高いので注文少ないですけど(^^)
 ところが最近、そんな樹脂ねじの世界が一変しはじめいるんです。
  ・・・・ということで、この続きは次回に。
 
 2000.6.4. 第12話  樹 脂 の ね じ その2
 
 話を振っておきながら次が遅れてすみません。 また前話でPCなんて略号使って
パソコン?って思われちゃいますよね。PCってポリカーボネートの略号なんです。
  ってことで本題ですが、ここ数年スーパーエンプラ(スーパーエンジニアプラスチッ
ク)と呼ばれる一群の素材が注目を集めて、それに伴って次々に既製品の樹脂ねじ
類にも新しい製品が生まれて来ています。
まずは、その旗頭的存在のPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)からお話しなけば
ならないでしょうね。 まず、従来のプラスチックの常識を超えている、耐薬品性です
なにしろ濃硫酸以外の薬品にはほとんど侵されず、耐磨耗性、耐摩擦性、耐放射
線性(普通じゃあんまり関係ありませんが凄いとだけでも思ってください。)、また
耐加水分解性これもなんのこっだろと思いますが、要するに水やスチームが掛かっ
ても侵されないんです。勿論耐熱性も常時で180度と高く、当然のごとく高い絶縁
性も持っている、正にスーパーマン(古い?)のような素材なんです。
例えば、メッキの槽の中の電極を留めるねじにも使えるくらい薬品に強いんです、
その上、絶縁性が高いから、昔金属製で留めてた時のように留めてるねじにドンドン
メッキがくっついていって岩のようになって取れなくなったなんて事がないんですね。
そのほか、やはり化学関係とか、洗浄関係にも広く用いられ始めているんです。
 唯一難点はまだ、高価だってことでしょうか、でも侵されず、傷まない利点を生かし
て行くことでメンテナンスの面倒が非常に少なくなり、何回も安くても取り替えていた
ねじがずーと使えるって事なんで長い目でみると安くなるんでしょうね。
これって、今までのプラスチック=使い捨てというイメージからすると一大革新では
ないかな?と思っています。
ちょっと難しい話になってしまいましたが、次回、もう一回だけお付き合いください。
  
  2000.6.7. 第13話  樹 脂 の ね じ その3
    
 続きですが・・・。もう2点だけ。最近PEEKをより求めやすくしたようなPPSという
(ポニフェニレンサルファイド)が登場してきました。耐薬品性こそPEEKにやや劣り
ますが、機械的強度はPEEKよりも良く、こちらは何と言っても耐熱性で連続200
度に耐えるという優れた特性を持っていなす。 これで価格がPEEKより安いので
これも今後期待される材質ですね。
  最後がRENY(レニー)と呼ばれるガラス繊維強化ポリアミドです。こちらは、今
まで紹介した2点に比べて耐薬品性こそ、劣るものの、樹脂ねじのなかでは非常に
高い機械的強度を持っていて、折れやすいという常識を破っています。
耐熱性は105度とちょっとポリアミド系の部分もありますが、吸水性も少なく、強度
を重視した絶縁ねじとして価格も手頃です。
 以上PEEK、PPS、RENYがそれぞれの特質で従来の樹脂ねじのイメージを変え
て行く日も、もうそこまで来ていて、ほんとこういう部分の技術進歩は凄いですね。
この他にも耐熱350度なんて樹脂もあり、次世代と言われるセラミックのねじと共
に金属ねじとの割合に変化が出てくるのではないでしょうか?
ねじを扱う者としてほんと技術情報に追いつくのが大変なこの頃です
   
2000.8.15 第14話  カスタムオーダー
   
 また、間があいてしまいましたが、近況のようなものを書いてみたいと思います。
HPの開設当初より個人の方もしくはSOHOの方、大学の研究室の方などからのご
注文をお受けしておりましたが、ここ1−2ヶ月そのお問い合わせ件数が増加してお
ります。 それらは実にに多種多様なものでこちらも大変勉強になりました。
確かに個人の方がちょっと特殊なねじや、部品を手に入れようとした時、従来はかな
りの部分が企業向けの大きなロットでしか入手出来ない世界から広がりを感じるよう
になってきましたが、それでもねじ全般から見れば極一部なのかもしれませんね。
 それに従来だとタウンページなどでねじの店を捜したくても何を扱っているのかさえ
もはっきりしないし、どうも業務用というイメージがありました。 まぁー当店のような
小さな店なので対応も可能だと言われればその通りなのですが、その一助になれば
幸いと思っております。 ただ、その際でも実際に製作となると難しい問題も多く出て
くるのがカスタムの弱点でしょうか?個人の方やSOHOの方の予算には限界があり
ますから、中々思うように行かない事も多く、例えばねじを切る事一つをとっても、安く
加工するためにはダイス、タップなどの工具での加工になるのですが、その工具が手
に入らないと言う事多くなりました。確かに旋盤加工でもねじは切れますが、合わせ
物の事とか、加工単価などで頓挫していたり、ヘッダー品でないと出来ない成形を希
望された時には金型代とか最少ロットとかの問題が起こります。
その為、カスタムというようなものの現在のところ完全オーダーみたいに胸を張れない
状態で、なんとか既製品を有効利用したり、特殊品を捜しだしたりのほうが多くなって
います。 既製品の前話でも触れているように効率重視が進んで、ちょっと前ならあっ
たのに、と言うものも本当に増えてきています。 一例を挙げるとマイナスの頭のねじ
類で現在入手可能なのもはかなりサイズが限定されてしまいますし、中でもマイナス
の木ねじは絶滅寸前と言ったところです。  先日購入された方からの提案で万が一
マイナスがなくなったら頭の十字穴を埋めて、スリワリ入れるしかないねとまで言われ
るような現状なのです。(ちなみに木ねじやタッピングなどのねじは通常のダイス等で
は加工が出来ないので少量ロットで作る事が出来ないのです)
  
2001.4.23 第15話 勉強不足
    
久しぶりの追加でいきなり愚痴で申し訳ありませんが、以前からわかっていた事とは
いえ、自分の知識不足とねじの世界の広さを痛感させられている今日この頃です。
ユニファイねじ専門と言ってHPに表示しているのですが、これまでに同じユニファイと
考えて当然のUNS(イギリスのユニファイ規格でねじのピッチが違うもの)を始め、
UNEF(ユニファイの極細目)などのお問い合わせをいただくのですが、名前とか今ま
でに当方で製作したUNEFの範囲ならわかるのですが、サイズ、規格表などが手元
になく、明確なお答えで出来ない状態です。
UNEFはボリュームナットとかアンテナ部品などに用いられているのでが、外国(主
にアメリカ)からの輸入製品に付属しているもので、新たに量産製作される事が少なく
試作や補修が多い上にダイス、タップ等の工具はかなりのサイズは入手可能(ただし
非常に高価)ゲージ類は特注製作で実質的に入手が難しいため、現物合わせになら
ざるを得ないのが現実で、とても規格がとか公差がと言えるレベルにないのです。
実際、ミリサイズでも特殊なピッチになると同じような状況にあり、効率優先で在庫を
置くことが悪の現在では特殊サイズになればなるほど製作コストの上昇は避けられな
いため、 製作のご依頼をいただくとその数量によっては単価がねじとは思えないほ
ど高価なものになるため非常にご負担をお掛けするするため非常に心苦しいのです
  また見積もりの提出もこのように工具が入手困難だったり、それに変わる製作法
を(ゲージがないのでめねじの合わせものなどを製作してからとか)考えたりしながら
となるために時間が掛かりこの面でもご迷惑をお掛けすることが多くなりました。
  さらに個人のかたの補修のためなどですと、やってやれない事はないのですが、
実質的にあまりに高い値段にあきらめていただく事も多く看板倒れにもなったりで本
当に申し訳なく思っております。
  
2003.2.22. 第16話 ふたつのチタンねじ
  
ほとんど2年も間が開いてしまいましたが、また復活しました(^^;;;;;
以前にも書きましたが鉄からステンレスに徐々にねじの材質が移行していくのかな?
ですが、確かにステンレスねじの出荷は増えていますね。ただ現状足元の景気の問
題もあるのかもしれませんが、まだまだ安価な鉄の需要は根強いですし、特殊なサイ
ズのねじは鉄しかないものがほとんどだったりします。 そうした中で次世代のねじと
言われるチタン製に今かなりスポットライトが当たっています。優れた耐食性と軽量
、非磁性、耐熱性の良さなど現在のハイテク機器に適した性質でねじメーカー各社も
以前書いた時より生産量、開発に対する意欲も増しています。 まぁーまだ通常のね
じに比べると高価ですし、種類も限られるているのですが   これはこの材料の持つ
加工性も悪さもありますし、まだ材料の生産量が少なく材料費が高いという面が壁で
(以前書いた時よりは格段に環境は良くなっていますが)いたしかたない部分もありま
すね。 ただこのチタンなんですがこの頃良く問い合わせを受ける時に説明する事な
のですが、どうもチタン=強力ってイメージがあることなんですね、確かに比重が軽い
ので同じ重さにしては強い事は確かですが、もう一方にある6−4チタンと言われる
医療用、航空機、レース用バイクのねじに使われるているチタンのイメージが市販さ
れている純チタン2種のねじと混同されている部分がかなりあるようです。
 このため軽量化と同時に高強度が果たせると思われると困る事になります、確かに
6−4チタンですと求めるものが得られるのですが、6−4チタンは更に加工性が悪い
上に材料費もまた一段と高価になるためほとんど市場性がありません(極一部にボル
ト類を作られているメーカーさんがあるのみ)。 今売られているのは純チタン2種と
も上記のようなチタンの性格は持っていますが、こと強さに関しては通常の鉄の小ねじ
よりやや強いかな?くらいです、ただ基準を通常の鉄の小ねじやステンレスにすると
かなり近い強度でほぼ半分の軽さに出来るし、錆の心配がない(特に海水など)という
優れたものには違いありません。
 くれぐれも通常に市販されはじめた純チタンと6−4チタンの混同をされないようにご
注意くださいね。・・・・と言っても6−4チタンはそうそう簡単に入手出来ないものです
ので先入観を持たないでねじを選んでくださいって事なんです。
  
2003.2.28. 第17話 アルミのねじ
  
前回に関連してるのですが、チタンへの転換の理由のひとつが軽量化と書きました。
軽量化に限って考えればチタンより比重の軽いアルミねじは?って化学の授業の時
の事を思い出すまでもなく、車のアルミホィールなど考えればすぐに考えますよね、
でも?アルミ製のねじって身近な存在じゃないですよね。 昔のお鍋などはみなねじ
じゃなくてリベット止めでしたしね。 唯一目に付くのはラジコンなどの模型類のねじや
特殊なバイク用の部品くらいでしょうか? 実際当店でも通常(A5052という耐食ア
ルミ)のものは小ねじ、ボルト、ナット、ワッシャーとも残念ながらまだ箱単位です
そんなものここで説明しても意味ないでしょと言われそうですが、実は隠れた存在な
がら高性能なアルミのねじも存在しているのです。ひとつがA7050材といういわゆる
超超ジュラルミンと言われたり、高強度アルミニュームと言われる既製品ねじ類です。
この製品は高強度(鉄のS45Cボルトに近い・・・純チタン2種より強度が高いもの)
でしかも特殊な熱処理とアルマイト処理によって強くて脆くない、軽量という現代の
求めるものを持っているのです。 しかもアルマイト処理によってカラーも自由になる
と言えばもう理想かな?、ま、ただチタンに比べるとアルマイト処理をしていても弱い
熱膨張が大きいので熱が持続するところには弱いなどの弱点もあります。
 でも16話のチタンが今あれだけもてはやされるのに、こちらはまだスポットライトが
当たっていませんね。室内でとか?ロボットなどの機械部分にとかならこちらをお勧め
したくなるのですが、どうもチタンのイメージのほうが良いようで、ご説明にいつも苦労
しているのが現状です。 アルミって聞くと軽いけど簡単に曲がったり折れたりってイ
メージがあるんでしょうね。 でも航空機の部品や機体にはこのお仲間の超超ジュラ
ルミンのA7075系が使われているんですよね。だから処理等を施せば軽量、高強度
の部品が出来るんですね。少しはイメージが変わりましたか?
また当店では、この既製品のA7050のねじの手配のほか、A7075の代替材として
YH75を用いてM1.4程度からのマイクロねじや、特殊ナット、キャップスクリューなど
の特注製作をさせていただいていて、その用途にいかに合った材質かを考えて製作
させていただいてます。 (もっとも予算があって最も高強度なら難削、高価な6−4
チタンという選択枝も十分あるのですが、予算も重視ですので)
とにかく以前の材質のお話を書いた頃よりも材質の細分化が進んでいますので、固ま
りかけてる頭で理解するのが大変です。名前を覚えるだけでも大変なのに、強度や
後処理の複雑になるのでもう限界でしょうか??
 
2004.4.24. 第18話 わずかな差  
 
またまた、1年ぶりになってしまいました。 当店も昨年特殊ねじでドメインを取得して
益々特殊ねじに磨きを掛けたいと思っていますが、現実はと言うとただ謝るほうが多
いという状態です。 一番最近お問い合わせをいただて対応出来ないものにバイク
用などのボルトや六角穴付きボルトの細目(通常より細かいねじの山の間隔のもの)
の小売りに対するものがあります。 単純に考えればねじの太さは一緒だし、頭の
大きさも一緒、なのになんで小売りがないの?と良くお叱りを受けます。
 確かに見た目は普通にホームセンターなどにあるボルトと変わらないものですの
でそう考えられるのも当然ですね。 でもこの細目というのは実際にバイクや自動車
などの部品を除くと機械関連の位置決めなどのためくらいしか用途なないのです。
 でも設計の関係上長さの種類は最低でも1サイスに対して10〜18種類あります
それを全て揃えるにはかなりの在庫が必要です。それに対して、現在お問い合わせ
をいただく件数がかなりあると言っても月に5〜6件ですので消却するにはこのぺー
スだと10年以上掛かりますので、これを価格転嫁したのでは高価過ぎてとても買
い手がない価格になってしまいます。
 それと言い訳のような事を書かせていたただくと、見た目は僅かな差なのですが
細目になると、既製品の製造方法だと製造する素材の径が違うため一番出回って
いて安い径の材料が使えない、ねじを切る工具も違うなどの投資が必要なのに、
流通量は遙かに少ないため、製造メーカー自体も負担が大きいので価格も当然
高くなります。 それをバラで出荷してはロスが大きすぎるので箱単位なのです。
 確かに個人の方が改良したいと思った時に必要な本数は多くて10本、それなの
に箱単位は100〜200本そんな数がいるわけありませんよね。
しかも単価もホームセンターより高いのではもう頼める訳がありません。
  それにこれらのボルトは強度の問題もあります。通常のホームセンターなどにあ
るボルト類は強度が4.8〜5.8前後のものが多いのですが、いわゆる高強度と
言われる範囲の10.9、12.9という強度区分のものでなければ自動車、バイクに
使用する事が出来ません。 しかし、安全面を考えると基本的に強度設計をされた
ものをカスタムメイドする事は危険が伴います。 そこをお客様にどう理解していただ
くか悩みます。 ただ単に強度と言ってもJISで規定されているのはあくまで引張荷
重ですので軸と同方向に荷重を加えてせん断するまでの強さですので、材質と太さ
熱処理である程度管理出来ますが、バイクなどのように多方向からの曲げ圧力など
になると締め付けの長さや、ねじの先端までの距離など変数が多くとても簡単に安
全ですなどと言えない部分が多いため、いくらお客様の自己責任と言っても売りに
くいものです。 このように細目のボルト1点だけでも対応が難しいと思います
(まぁ〜半分逃げ口上だと言われればそうかもしれないのですが)
 
2004. 5. 7. 第 19 話  非磁性のねじ
最近、非常に問い合わせが増えているねじに非磁性のねじがあります。 これは半
導体や、超電導、計測関連など非常に微細な部分のねじに対するご要望からなの
ですが、ご存知のように一番一般的なねじは鉄製ですよね。 ホームセンターにある
ねじですし、家庭内のほとんどのねじですね。 まぁー台所とか浴室はステンレスが
多くなってますが、・・・・と横道に行かないようにしなくては。
誰でも小学校の理科の時に磁石の事をやったし、マグネット式の家庭用品も多いの
で、鉄が磁石にくっつくのは知ってます(私も(^^;;;)。 なので強い磁場の中での使用
が出来ないは判りますよね。 じゃーステンレスにすれば、これは半分正しいですよ
ね。家庭にあるスプーンなどは磁石に付きにくいですし、ねじの材質を見分ける時に
も磁石が付くので鉄、付かないのでステンレス?なんてやりますから。
確かにかなりのレベルまでステンレス(SUS304や316ですが)も有効ですね。
でも、ニッケルという材質がステンレスには含まれていて、これが悪さをする事が
あるのだそうです。 なのでドンドン微小な反応を排除していく分野では本来非磁
性の代表格の真鍮材のねじに防錆のために着けるニッケルメッキの極薄い層でも
反応するのだそうです。 じゃー金属じゃないプラスチックなど樹脂のねじにすれば
いいじゃないかと思います(確かに対薬品性などでは抜群でこちらが選択される事
もありますが)、でもこちらは強度面であまりに弱く小さなサイズではすぐに折れる
心配もあります。 なので真鍮・りん青銅が良く用いられます。特にりん青銅は伸銅
類の中で強度に優れていますので、代用の第一候補かもしれません。 それでも
鉄、ステンレスに比べると弱いので通常のすりわりや十字穴(こちらは既製品が
ありませんが)ではなく六角穴付きで締め付けトルクが掛けられ、しかもカムアウト
しにくいので当店でも良く製作させていただいております。
  チタンや、アルミだって非磁性じゃないと言われそうですが、チタンも確かにその
一翼を荷なっています(ただ特注品は高価ですし、鍛造のねじは製造工程の管理
に気を遣います・・・僅かな鉄粉でも混じって転造されると磁化されやすくなります
  アルミも厳密に言うと合金の中にわずかに鉄が含まれているものがあるので絶
体とは言えないのですが、加工代がチタンより安価、軽い7075系なら強度も高い
などの特徴を生かして研究機関にお納めさせていただいて事もあります。
なので、ロボット関連のねじと非磁性研究用のねじがかなり近いサイズだったりして
こんな所でも最先端同志のご縁があるようですね。
 
 
 以後のお話は「ねじ屋のブログ」にて追加していきますので今後共よろしく
 お願いします。


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