ねじと金属切削加工のなんでも屋 有限会社 竹澤鋲螺

六角穴加工の色々

おじぎ
厳密な説明が難しくて出来なくてすみません。


  
 1.ヘッダー加工、
 既製品のねじのほとんどがこの方法で作られています。これはねじの頭部を作る
 時に金型の中の六角のレンチの頭の先をやや変えたような凸部を作ってあって
 頭部に材料を圧入する時にその部分が凹んで成形されるものです。
 この方法だと六角穴の底が綺麗で(削り取られる部分がないので)他の面もツル
 ツルしています。 大量生産可能で単価は他の方法より非常に安価になります。
 ただし、頭部の成形金型が必要なことと加工する前の材料もループ状のものを
 直線にしながら製作するもので製作ロットが何万本というようなレベルになる為
 特注で製作するには非常に費用が掛かるもので、既製品のように標準化出来る
 がある程度出来るねじに限られるものです。
 
 2.熱間鍛造
 上記の方法と同じように頭部の成形と同時加工ですが、こちらは比較的大きな
 サイズのもの、材料の硬度が特に高いものなどに用いられる方法で一体で作り
   ますが少量製作(と言っても100本レベル以上)が可能となる場合があります。
 
 3.プレス加工
 当店の主力になる方法で上記の2つの方法と違って一体成形ではなく予め六角
 穴を作る所に六角の平径(六角形の対辺の幅)程度の径の穴を明けておき、そ
 こに六角形の矢(パンチ)を圧入して丸い穴を六角形に削りながら成形する方法
  こちらの利点は後加工のため製作出来る形状にかなり幅があり、上記の2つ
 の方法より総費用が抑えられる事、ねじと六角穴の同芯が得られやすいので
 精度の高いものが出来る。 ただし圧入して削り取って行くため六角穴の底に
 削りカスが圧入されるので美観が損なわれる、ホコリを嫌う所にそのまま使え
 ない(必要に応じて加工後ドリル等でカス部分を除去する事も可能ですが)
 また、カスが貯まる分だけ予め明けておく穴(通称 下穴)を希望する六角穴の
 深さよりも深くしなければならないために頭の厚さに余裕がないねじにギリギリ 
 の深さの六角穴を作る事が出来ない、頭部の外径に余裕がないものは加工の 
 圧力で頭部に割れが入るなど加工寸法は限定されるものです。
 通称加工名は六角形のパンチを打って入れて削ることから、六角矢打ちと呼ば
 れています。  以前は多くの六角矢打ち屋さんが居られましたが今は貴重な
 存在になりつつあります。
 
 4.スロッター加工
 3.と同じように後加工で六角穴を作りますが、プレスは一辺に成形するのに対し
 してスロッターは同じ下穴を明けてからですが六角穴の1面づつ6回削って六角
 穴を作ります。この方法は1面づつ削るので面が綺麗、正確、極端に少ない個数
 1個、2個で特殊な寸法の六角穴を作るのに適しています。またプレスでは圧力
 が掛かり過ぎて加工出来ない大きなサイズの六角穴にも対応出来ます。
  ただし、六面をひとつづつ削る加工時間、セット時間などのため加工工賃は3.
 のプレスよりも高価になります。
 (削りカスは取れますが削る刃が当たるのを逃がすため下穴は希望より深く
 なります)
 
 5.放電加工
  3.4.と同じように後加工ですが、こちらは削るのではなく高電圧により徐々に
  溶かして(言い方正確じゃありませんが)成形して行くもので、スロッターよりも
  1加工に時間が掛かるため非常に高価な加工方法となります。
  しかし3.4.では難しい難削材や細穴、深い穴にも対応可能で精度も出す事
 (元々金型を製作する時に使用する方法で精度を要求されるため)が可能です。
 また、六角穴の反対側にめくら穴やタップがぎりぎりの場合はこの加工法しか
 出来ないという特徴もあります。
  
 6.ブローチ加工
  後加工六角穴でもこの方法だけ穴が突き抜けているものに限定されます。
  それはブローチの下穴の中を六角の心材を突き抜けて押し出すように削り成
  形するためです。 この方法は六角のメガネレンチなどの製作に利用されたり 
  します。ただしあまり精度を要求出来ないのでねじに限ると出番が少ないです。
   
    7.同時切削 
 ねじを旋削(回して削る)して製作する時に同時加工として六角穴を削る方法で
 極端に頭径と六角穴径の差の少ない時などに特に有利で削り取りのため仕上
 りも綺麗綺麗に出来ます。 ただし、平径3mm以下の様に穴の中に刃物が入
 らないサイズには対応出来ません。また中量以上適したコストのものである程度
 形状が限定されない場合は3のプレスよりも高価になります。
  
 8.他の方法
 マシニング等を使って下穴を明けておいてミーリングという丸い棒状カッターで
 スロッターのように削り取る(ただし丁度亀の手足、首、尻尾のように六角の
 頂点を出っ張らせないと六角レンチは入りませんのちょっと変な形になる
 などですが・・・・・
 今の加工技術の進歩は凄いのでこれはもう一時代前の知識でもっと優秀な加工
 法が開発されているのかもしれません(^_^;)
このような色々な加工方法がありますが
当社の主力加工はプレス加工になります。
 
1.ヘッダー加工は量産目的で安価ですが同芯度など精密加工が難しい。
2.放電加工は後加工可能ですが、一辺づつの加工で加工代が高価になる
3.ブローチ加工は貫通形状のみ
4.ヘッダー、熱間鍛造、六角切削ブローチは量産時には有利ですが
  イニシャルコストが大きい
  
などの短所のある他の加工に比べて、少量、中量までの加工製作時に
コストを押さえると同時に精度を落とすことなく加工が出来るのが最大の
利点です。
    更に広い材質に対応加工(樹脂材を除く)出来る。
    最少は六角平径0.9mmという極小のものにも対応(中量以上)
     (現状の最大平径は19mmです。)
    試作時などには10本程度から六角穴を付けた製品の試作が可能
    今まで放電加工等でコストダウンが出来ないものはご相談下さい。
    また、数量、材質、形状などにより、他の方法がよりコストダウンと
    となる場合には協力工場によりお客様とご相談を詰めて協力工場
    での加工が可能ですので、保険のフィナルシャルプランナーのよう
    にお客様の製品により最適な加工方法をご提案させていただきま
    ので、是非お気軽にご相談ください。ご相談はこちらへ


製 作・加 工 例

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