ねじと金属切削加工のなんでも屋 有限会社 竹澤鋲螺

ねじ屋の雑談コーナー

おじぎ
ねじ屋の内輪話ですみません

このコーナーは他の正規のページと異なり個人的な雑談のみで書き足して
まいりますので、正確な裏付け等がないときも多いのでご注意ください。

第1話 まずは社名から                 第11話 樹脂のねじその1 
      
第2話 ねじの価格        第12話 樹脂のねじその2 
   
第3話 進む省力化     第13話 樹脂のねじその3 
   
第4話 職人さんの引退      第14話 カスタムオーダー 
   
第5話 ねじの材質      第15話 勉強不足 
 
第6話 ねじの規格 
   第16話 ふたつのチタンねじ
   
第7話 ねじのメッキ     第17話 アルミのねじ
  
第8話 最少受注数     第18話 わずかな違い
  
第9話 餅 は 餅 屋    第19話 非磁性のねじ
  
第10話 独 自 の 技 術    以後のお話は「ねじ屋のブログ」
 にて追加していきますので今後
 共よろしくお願いします。


99.9.14.  第 1 話 まずは社名から
  
私たちの社名 有限会社 竹澤鋲螺を簡単に読める方は大変少ないのではないでしょう
かタケザワビョウラと読むのですが、最近はねじ関係の極狭い業界でしか読める人がい
なくなってきました。ビョウラと聞こえず楽器のビオラと聞き間違えられたりするくらいです
 鋲は画鋲の鋲で螺は螺旋階段の螺などといつも説明しています。本来の意味は鋲は
リベットなどのかしめ部品で螺はねじを昔は螺子と書いていたのを略したものなんです。
 だからこの業界ではねじを作るので〇〇製鋲とかねじの加工製作をしていますという意
味で螺子製作所、精密なものを作りますというので〇〇精螺製作所という名前が使われ
ています。 でも大手といわれる所は徐々に鋲とかネジとかの文字をなくしてあっさりとし
た企業名に変わりつつあり(ねじに限らずあらゆる部品を扱いますという意味で)当社の
ような小さな会社では名前だけのイメージを替えても実力が追いつきませんし、この名前
にも愛着がありますからまだまだ当分は聞き間違えられながらも使って行くつもりです。
 
99.9.23.  第 2 話  ねじの価格
  
 間が開いてしまいましたが、次はねじの価格です。 これは一種企業秘密のところもあ
り(笑)難しいですが、一般論として既製品として流通しているねじ類(ホームセンターとか
ハンズでも売っている物)の業界内価格はいまだに1円以下の単価が付いているものが
かなりあります。座金類など特にそうなのですが、1個じゃ1円以下でお釣りもない単価
のものもあるんです。 今時1円以下の単価があるのってねじ屋と紙屋さんぐらいのもの
とかよくいいます、どちらも単価の割に重くて送料のほうが高かったりするんですね(^^;;;
今時(これもちょっと死語ですが)の若い人達に1円以下の単位1円=100銭(せん)と
いうピンと来る人がどれだけいるんでしょね、たとえば座金1枚何10銭なんて単価もある
し、価格交渉も厳密になれば1銭、2銭の世界です。 だから通常の(家も含めて)ねじ屋
さんは小売りをしなくなったんです。そんな単価のものを在庫してバラで5個10個と
売って行くことは今の時代難しいんですね。さらに鉄の品物なんかいくらメッキしてあ
ってもサビが出てきてそのまま損になってしまうんです。 家から見るとホームセンター
なんかの単価を見ると凄く高く感じますがそれだけのリスクというか無駄が価格に含ま
れてので当然そういう価格にならざるを得ないんでしょうね。 だから第一話のようにね
じを切り捨てる訳にはいかないけどもっと付加価値のあるものに中心を移しているねじ
屋さんが増えているんだと思います。
 
99.10.1.  第 3 話  進む省力化 
 昔は普通ねじというとビス(どこにでもある小ねじの事です)とナットとかボルトとナッ
トと組み合わせて使うことが当然で、せいぜい薄い板金物に使う木ねじのようなタッピ
ングぐらいのものでしたが、今は既製品ねじの世界はナットのいらないタップタイトの
ように下穴明けただけでその穴に挿入すればそのままめねじを作りながら締めてく
れるようなタイプのシェアーがどんどん増えているし、ナットも前は締め付ける時はナッ
トをスパナなんかで押さえていなければいけなかったのに今はカレーナットやセルフ
クリンチングナットなどでそのまま板に付けられて押さえる必要がない。
 ばね座金や平座金を組み込んであるねじもどんどん種類が増えていく傾向にあり
ます。まぁ一部第二話の付加価値の面もありますがその理由の大部分は省力化と
いえるんです。
 メーカーがいかに組立工程数を減らすか、時間あたりの生産数を延ばしてコスト
ダウンをするかの研究が産んだ現象なんですね。 今あなたのまわりの電機製品
やおもちゃを見てみて下さい。きっとタッピングやタップタイトみたいにナットがついて
いないものがほとんどだと思います。 それだけ進んだ証拠ともいえるんですね。
 ただ進んだのはいいんですが、昔のように一つのものを治しながら長ーく使おう
とすると不便な面もあります。だいたいこの手のものは何回も取り外しを繰り返し
するには不向きなんですね。 メーカーの保証期間から部品保有期間までもてば
充分お役目をはたした事になります。(まぁねじだけに限った事ではないかもしれ
ませんが) ベビーカーなど何代にも渡ってリサイクルして使おうなどというときにも
たったねじ一本、ナット一個ないだけで使えなくなることよくあります。
そういう時のねじ達は皆ホームセンターの日曜大工コーナーには置いてない種類
が多くてそのまま粗大ゴミへなんて事もよくありますね。 やっぱり世の中良い面
悪い面と相反する部分は多少なりあるもんなんですね。
 
99.10.7..  第 4 話 職人さんの引退
  
前回の省力化とまたまた関連してるのかも知れませが、どんどん機械類も進歩してい
て、このHPをご覧いただいている方なら当然のごとくご存知のように世の中なんでも
コンピューターの時代になっていますよね。家電品などにマイクロプロセッサーが組込
まれる以前から当然のように産業用機器にもコンピューター制御の波が押し寄せて
来ていて、今は、小さい物はNCピーターマンとかNC旋盤、大きく複雑なものはマシニ
ングセンターなどと切削加工の方法も皆プログラミングの時代になっています。
だから日本の高度経済成長時代をささえてきた、いわゆる「ねじ屋さん」の職人さん達
の出番がなくなりつつあります。 年齢的にももう50台後半になりつつある人たちです
それこそ陶芸とか漆器とかの伝統工芸の世界ならまだその技術は充分に尊重される
クラスの技術、腕を持った人もこの平成不況で次々と転廃業してこの業界から去って
行っています。 確かに今の時代の求めるミクロンオーダーの世界のものはNCなど
の機械でなければ精度的にこの人達の機械では難しい面もあります。 でもこと試作
品や特注品の物においてはそういう”腕”がないと作れないものも沢山あります。
微妙な力加減や、バイト(金属を削る刃物です)の研ぎ方、治具の工夫など長年の
ノウハウがないと作れないものが数多くあります。 そんな人たちがいなくなった後は
どうなるのかちょっと心配です。 ただでさえいわゆる3Kの加工業を継ぐ人は少なく
今の新鋭機種で加工している人たちの中には(あくまで少数派とは思いますが)
先に言ったバイトが自分で研げなかったりしますし、また研ぐ必要もないくらいにまた
再生してくれるサービスもありますが品物を一から作れる人が少なくなってきているの
は確かで工場の海外移転の産業の空洞化同様、将来の日本の技術という面でもこの
ことは憂慮されるべき問題じゃないかとこの頃つくづく考えさせられます。
 
99.10.19. 第 5 話 ね じ の 材 質
  
また、間があいてしまってすみません。 今回はねじの材質です。詳しい特性や機械
的性質は「丸エム」さんのねじのよもやま話や「サンコーインダストリー」さんのねじの
博物館のHPがよっぽど詳しいのでこの点を知りたい方はそちらのほうがもっと参考に
なります(どちらもYahooですぐに解ります)のでまたこちらは役立たず情報なんですが
以前(かなり以前ですね)はねじというと、鉄か、真鍮に決まっていて、徐々にステン
レスが増えて来て立場が逆転しつつあるのが現状です。ステンレスのほうがニッケル
など元々材料の単価の高いもので合金にしているので材料費自体もも高いので当然
単価は高い、それにステンレスは硬かったり粘っこいので削りにくく加工が他の材質
より手間がかかるので単価が高くなります。 だから単にコストだけをみれば選択され
ない材料ですね、だから短期間で壊れてしまう事を前提にしているものには使われな
いんです。(たとえば子供のおもちゃなんか・・・たとえ水がかかってさびやすくても鉄
製のねじが多いですね)。でも世の中少しづつ長持ちさせる傾向になり、また高品質
のものでないと消費者の人達も納得しにくくなったのでサビにくくさらに強度的にも丈
夫なステンレスが重宝がられています。 以前マンションの寿命が話題になった事が
ありましたが、給排水のパイプも昔は鉄にメッキ(それも簡単な)だったものが、内面
をビニールコーティングしたものに、さらにステンレスへと変わって詰まりや汚れに強く
なるように改良されつつあります・・・・とねじから離れてしまいましたが、
ねじもそんな時代の流れのなかでステンレスがやがて主流になっていくのかも知れ
ません。 けっこう昔の人間としては真鍮製生地のねじの暖かみなんか好きでしたし
ちょっと前まで加工業者でも真鍮専門なんて人もいたのですが、前話の職人さん以上
にその必要性がなくなり早々に廃業に追い込まれそうです。
まだまだ主流は鉄製品ですがメッキを付けないとサビる欠点から最近の高精度を要求
(メッキの厚さの管理は難しく高精度のものはかえってメッキが割高でステンレスとの
差が少なくなってしまうし、品質管理面も不利なため)
する製品から徐々にその座をステンレスにとって変わられつつあるんです。
でも、ステンレスでも最終到達点という訳ではなく、最近ではさらに強度が高く耐化学
性もある上に非常に軽いチタン製が登場してその内代替わりするんでしょうか、
もっとも今はまだまだ高価で普及にはコストの壁が厚そうです。 
 
99.10.28.  第 6 話 ねじ の 規格 
  
かなり間隔が開いてしまいましたが、今回はねじの規格です。このHPのコーナーで
ユニファイ規格の基礎的な部分を豆知識として簡単にまとめていますが、ひと口にね
じと言っても本当に種々雑多な規格が混在していて、私もこの業界に入って20年以
上になりますがその50%も理解出来ていないと思います。(本人の勉強不足を棚に上
げていますが) 一番一般的なJIS規格のねじ(ホームセンターにもある)についても
実際今流通しているのの中にはすでに本当は規格が変わってしまって規格外になって
しまっているのにそちらのほうが一般的になってしまって正規のものになかなか換えら
れなくなってしまっているものも多くあるんです。(JISブックでいう附属書扱いの物)
六角ナットなどが代表的なんですが、、他にも沢山ありますが。
だから設計開発部門などの方などからよくどうして規格品がないの、とか規格で設計
してしまったとかいう話しを時々聞きます。 徐々にJISとISO(日本規格と国際規格
とを近づけて最終的に一本化していくのが国の方針のようですし、確かにどこの国に
行っても統一されていたほうが便利なんでしょう、(結構それに抵抗してるのが案外
アメリカの業界だったりするのも面白いとおもいますが) でも毎年毎年少しづつ規格
が新しくなっていくのでその確認、誤認などで大変です。 元々必要性ができて徐々に
増えた規格なんで、ねじの山数(ピッチ)など最たるものですが同じ太さでも細かさが
何段階にもなっています。 時々見本品を持ってこられてこれと同じのを下さいと言われ
る事もあるんですが、使い込んで傷んでいるものなどどちらとも判別付かないなんて事
もたまーにあるくらいです。 そのため図面での受注は問題ないのですが、口頭や規格
で作って下さいというのが一番ねじ屋泣かせかもしれません。 一般的な既製品なら
特に問題はないのですが、以前に作ったものなど途中で規格が変わっていたりする事
もありますので受験生の辞書のごとく規格ブックで確認しながらというのが多くなりま
した。 ボルト、ナット、小ねじひとつとってもこうなのですから、先に書いた省力用ねじ
やいたずら防止用ねじなど特殊品も年々増えてきて、どこまでこの頭が追いつくやらと
不安になるくらいです。 ただでさえ材質も鉄と真鍮といっていた時代とは違ってきてい
てこれまた前に書いたステンレスへの移行(一口にステンレスといってもこれまた40
種類以上あります)のほか高機能樹脂まで登場してきて、その内常にDVD ROMでも
持ち歩かないとわからなくなるんでしょうか?
 
99.11.15 第 7 話 ねじ の メッキ
  
すごーく間が開いてすみません。ネタ不足もありますがちょっと掲示板に掛かりきりだっ
たもので(言い訳です)。今回はねじのメッキについてちょっと書きます、皆さんが知って
るねじはどんな色してますか、だいたい一般的な鉄のねじはクロメート処理(うちの既製
品のページでもよく表示してますが)が一番多くて、黄色と緑とオレンジ色が混じったよ
うな色をしています。これにおもちゃなどに時々使われるユニクロメッキ(こちらは青白い
ような銀色)のタイプが次ます。 これは小ねじからボルトまでほとんどカバーしてますね
メッキの方法も回転式などで簡単に付けられるる有色亜鉛メッキです。ホームセンター
にあるねじもほとんどこれですね。 これは安くて一応防錆になるので在庫しやすいんで
す。今はこの有色の部分を工夫してカラーメッキで赤、黄、青、黒(特に多いですね)な
どバラエティーも豊かですね。 ただし戸外とか水に掛かるところには向かずすぐにサビ
てきやすいんですね。本来はあくまで一時的な防錆なんですね。(メッキ屋さんのせい
ではありませんので念の為) メッキ代も一番安いし、(キャップ類の酸化皮膜の黒染め
を除けば)十分目的は果たしてるんですね、その次がニッケルメッキというほんの少し
黄色系が付いた銀色のもの、これは見た目がきれいですね。(自己防錆力は劣りますが)
蝶番とか鍵なんかによく付いているものですね それに近年は無電解ニッケルといって
従来のような電極を入れない方法なので製品全体に均一にメッキが付き品質管理上
とても進歩してきてますね。 最後がクロームメッキで高級というイメージですしクロー
ム1号メッキですとバフ研磨で鏡面のように磨いた上に銅メッキを下地に付けてから
クロームメッキを付けるので高級感もあり防錆力もあります。(通称ジカクロという銅
メッキやバフ研磨等を除いた簡易タイプもありますが)
まあ金メッキ、銀メッキ、ハンダメッキ、アルミ用のアルマイトなど上げたらきりがありま
せんが一般にはこんなところでしょうか? 最近の技術進歩でクロームもいちいち職人
さんが手でバフ磨きしていたのに今は小さいものならバレル研磨と言って小さいビー
ビー弾位の砥石といっしょに回転させて磨き上げたりしています。
それに最近ではステンレスの電解研磨のようにメッキ処理のようにして表面のキズを
滑らかにしてステンレスをよりサビにくくしたり、見た目を合わすために黒色に色づけし
たりする事も出来るようになりましたね。
 
99.12.1. 第 8 話  最 少 受 注 数
  
このところ、更新が遅れてすみません。 今回は最少受注数と単価についてです、俗
に最少ロット数などと言われているもので(英語のLOT=一山、一盛り)既製品や、特
注品などの見積もりなどには欠かせないものですね。 既製品は通常箱とか袋に入れ
販売しているので以前にも書きましたがこの入り数より少ない注文だと残りがそのまま
在庫やロスになるので販売する側からすればその数で買っていただきたいものなんです
また、樹脂のねじや、特殊な物はメーカーが出荷する時から最低数量を決めていてそれ
以下では売ることが出来ないものもあります。 そのためこの数より少ないものは単価
を最悪個数割にしたり、割高にならざるを得ないものなんです。
  このため個人の方や試作などの時に単価を聞かれると「えーっ!」と思われるような
単価になる(特にユニファイ規格のような特殊品)事も多くて、ネットなどでお問い合わせ
された方にわかっていただくのが大変な時もあります。
  また、別に製作品になると更にその開きは拡大します。 もともと製作数によって
加工方法が違い、極少量は旋盤やペンチレース、ロクロなどでの手作り、もう少し多い
と自動機(カムなどの)、NCピーターマン 更に量産品はヘッダー加工といって圧造加
工のようなものまで、同じ形状のねじでも例えば一本3,000円したものが数万本ロット
になれば1円になるかどうかまで下がる事もあります。
  そして一般の方々が通常ホームセンターなどで見ているねじはこの一番安い方法で
量産製作されたものに管理費やロスの分までの利益を含んだ価格が付けられています。
だからねじというと1本2−3円から高くて50円位の感覚ですよね。
ところが、さて特殊な物を作ろうとするとそういう常識が通じなくなります。 それはまず
製作する数によって凄くそのものの単価以外のものが必要だからです。
 まず、材料(鉄丸棒が一番やすい)も1mm単位でなんか売ってもらえないので最低
2m、太さによっては5mなんて大きいものまでを1本買わなきゃいけない、たとえ1本の
小ねじでも(工場で端材がある時はいいですけど)、 次に通常のミりサイズやピッチ
(山数のこと)なら手持ちもありますが、それ以外はタップ(めねじ加工用)やダイス(お
ねじ加工用)などの工具を購入、そして最後につくるための段取り(準備のセッティング)
の時間+加工の時間 これらの金額を個数で割ったものが単価になります
だから時計用などのマイクロサイズのねじなんか道ばたに落ちてても価値がわからない
けど1本200円 300円というのはザラにあるんです。
このように単価が違うんで特殊品は「高いなぁー」と思われる単価になってしまいます
でもどのこ段階でもボッテいたりするのではなく、それなりの手間と正規なロス(変です
が)掛かっているんです。・・・・・・決してうちが高い単価のための言い訳ではないんです
 
99.12.1. 第 9 話  餅 は 餅 屋
  
得意なものは得意な人にって意味でしょうか?ねじの製作や加工についてもこれがあ
ります。一口にねじと言ってもアイテム数は膨大です。そのために大きさ、材質、数量
などによってそれぞれ細かく得意分野が分かれていて、いかにユーザーさんの希望する
精度、予算、納期、にマッチした加工方法を選択していくかというのが、当店のような店の
存在理由かと思います。
前の話で書いたように一見同じように見える品物でも加工方法が違えば単価が違います
納期が特急の時には同じ機械でも本来は単価が変わります(今の時代結構難しいです)
また、寸法公差などが厳しい設計のものは、それなりの工程、管理が必要なのでどうして
も当然割高になりますし、出来る加工法、加工先、も限定されて来るのが当然ですね。
この選択を誤ると、今のような不況下ではまず発注されず、もしされたとしても長くはつづ<
かない厳しい状況にあります。 ただ、この不況下で機械のリースや工場の経費などに
追われて本来の実働1日8時間での正規の計算から大きく割り込んだ工賃で加工されて
いる加工先も多く存在している事も現実です。(ほとんど得意先が数社で直受け的に今
までお得意さまについて正直に付いて行かれた加工屋さんが多く、悲しい現実です。
ただ、これがダンピング競争にならない事を祈るばかりです。 ガソリンスタンドが今次ぎ
次ぎと価格競争に敗れて閉店しているのとどこか共通しているように思えるのです。
更に、今はどこの得意先も購入品はコンピューター管理されていて、前回値として登録
管理されている事が多く、次回発注時にこのようなダンピング競争があると価格が不
安定になって(当然品質もちょっと心配です)、加工先がなくなってしまって手配が出来な
いという事態が起こることもあるのです。
どこの加工先もこの時代、出来るだけ安く加工代を押さえてガンバッテいらっしゃるので
なんとかその加工方法での単価が正しく反映される事を願っております。
 
2000.4.24 第 10 話  独 自 の 技 術
  
4ヶ月振りに書き始めます。(このコーナーほとんど死んでてすみませんでした)
話の種切れって事でもないんですが、なにから書いたらなんていっちょ前に考え始めた
時期でして、今後はマメに日常を書こうと思いますのでよろしくお願いします。
さて、今回は独自の技術なんですが、これって世界に通じる技術を持った中小企業って
マスコミでも深絞りの特殊プレス加工屋さんなどが取り上げられていますよね。ここまで
先端的な技術じゃなくても、極普通の機械とか普通の加工の仕方では難しくて作れない
という部分に独自のアイディアやノウハウを持って対応している加工屋さんって全国に
沢山おられると思います。細かい話バイト(金属などを削る刃物の事)の研ぎ方ひとつで
ねじなどを切り詰めした時にうまい加工屋さんが工夫したものは1工程で切ってもねじが
すんなり入るようになるんです。これって当たり前と思われるかもしれませんがピッチの
細かい細いねじなどでは特に難しい事なんです。 こういう事は日常の作業の中で少し
づつ積み重なった工夫の成果だったり、一種閃きを持った職人さんだったりします。
そして、今のように厳しい不況化でこのような一見僅かな差に見える部分なのですが1
日に出来る数量に大きな差があるので(通常の半分の工程で済むため)そのまま単価
になり価格競争力の差となって如実にあらわれます。
つまり同じ機械を使ってもまったく加工代が違ってくるのです。よくホームページに機械
設備の表示がよくありますが、だから単に機械を見ただけでは、そこの加工屋さんが
本当に得意とするものがなんなのかがわからない事が多くあります。そして残念ながら
得意部分を大きく取り上げて示してくれているサイトは数少ないようです。
表現の仕方がわからない所、書きたくてもノウハウを明らかにしたくない所など様様でしょ
うけれど、ネットで加工先を捜そうする時そこが最大のネックになるように思えます
素人が考えてもプラスチックを削るのが得意な人と鋳物など硬くて重いものを得意とする
ところって違って当然だと思いますよね。 だから単に機械がいっしょでもやり慣れてる
材料や、加工法で本体以外に持っている工具も違ってくるので、なにか加工や製作を
お願いする時の初期出費も全然違ってしまうのですね。 なんか前の話の蒸し返しみた
いですが、このように自分のところの得意分野を持ったところは強いという話がしたかった
んです。 皆と横並びで自動機などを好景気の時に大量に購入したところなどは狭い
分野での価格競争力はあってもほんのちょっとずれただけで無用の長物になってしまっ
たところもバブル直後には多くみられました。 
これって自分への戒めでもあるんですが、なんか違った技術を持たないと今は生き残り
が非常に厳しい世の中になったという事でしょうか?
戒め、戒め、次は出来るだけ早く書きますね(^^;;;;;
 


第 11 話 以降 へ つづく